RECOTT(レコット)

907 ユメイチヤ

Macによるデザイン・クリエイティブ科 第9期卒業制作

この物語は、ある重度の自閉症の女の子の不思議な「勘」が働いた出来事からアイデアが浮かび、「夢」と「人工AI」、そして普遍的な生命の真理を織り交ぜ、「生命」そのものに翻弄される人間の姿をSFの要素を取り入れて創作しました。

アイデアのヒントになったその女の子は、歌が好き、お風呂が好き、パスタやコーラが好き。突然笑い出したり、泣き出したり、何もしていないように見えて、頭の中では色んな事を考えているのだと思います。

視力も良い方ではありませんが、じーっと見て、大抵の果物やお野菜の形は答える事が出来ます。でも、何色なのかを答える事は殆ど出来ません。全部同じ色で答えたりします。ごく日常的な言葉のキャッチボールが難しいです。帰宅した時に「おかえり」と声を掛けると、「おかえり」と返事が返ってきます。自分から「ただいま」と言う事はありません。集団行動も苦手です。でも、これまでの人生経験で養われた人間力によって、言われた事や約束事を理解したり、その場の空気を読む事も出来ます。そして時々、目には見えないものをふと感じ取る事があります。

ある日、その女の子が支援員に「大丈夫?大丈夫?」と聞いてきた事がありました。何ともない支援員は不思議に思いつつも、その日を過ごしましたが、翌日、風邪を引いて体調を崩しました。こんな出来事が二度程ありました。

一体、その時に相手の何を察知したのでしょうか?…‥…私は未だに分かりませんし、今でも会った時に、じーっと見つめられると、一体「何を見つめられているのか」ドキッとします。「何よ何よ」と冗談ぽく話しかけますが、それに対して返事はありません。(笑)

表題の「ユメイチヤ」は、イラレの授業で習った夏目漱石の「夢十夜」の第6夜の世界からインスピレーションが沸き、「日本橋」の麒麟像と自分の部屋に飾っているお気に入りのプレイモービルのおもちゃから絵を描き起こしました。アイデアのヒントをいつもどこかで探している、そんな思考が少し身に付いて来た事を改めて感じた作品でした。

動画を作った事の無い私が、物語を創作する事が出来るまでになったのも、日々学びの場であったNYAの環境と、これまでお世話になってきた方々のお陰だと思います。
ありがとうございました。

菊池麗

   
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